かがみは寝ちゃったけど、私はまだ起きてた。
深夜1:50。コンビニから帰ってきて、何にもすることがなかったからパソコンをつけた。
今日買った「大河×実乃梨」と「美琴×黒子」の同人誌ではなくて、パソコンをずっと見てた。
ポケモン赤実況とマリオ64の1upきのこから逃げるやつを見てた。
もちろんニコニコ動画で。
最近私もアップロードしてなかったな。そろそろ何か起爆剤を投入しないと。
私の場合、ブームに乗っかってアップロードする。だから今なら松岡修造関連の動画かな。
ポケモン赤実況は神だと思う。あれが伸びた理由は私も考えられないくらい。1upきのこから逃げるやつは発想が素晴らしい。伝説のゲーム「スーパーマリオ64」のもう1つの違う遊び方を提示してて、私もやってみたいなって思ったんだ。
「見えないものを見ようとして、望遠鏡を覗き込んだ。
静寂を切り裂いて、いくつも声が生まれたよ」
あ、そのときバンプの「天体観測」が流れた。
私の着信音。
ベッドの枕元にあった携帯のフリップを開けたら、まりなちゃんからだ。
「もしも〜し」
「こなたちゃん?まりなだよ〜」
そのとおり。この声はまりなちゃんだ。
「寝れないの?」
「うん。こなたちゃんに出会ってからわくてかなんだ」
「そっか。私も眠れない」
私は別の理由だけどね。ただぼーっとパソコン見てただけ。
「同じだね。深夜アニメ見ないの?」
「あ、今日とらドラ!じゃん。私見るの忘れちゃった」
今日DVD予約したばっかりなのに、見るの忘れた私ってあほだな。
「私ビデオに録ったから貸したげるね」
「さんきゅ。あ、少しトーン低くしよっか」
「たねだね。真夜中だしね」
こいつはポケモンに影響されてるのか?余計に泣き声を混入させるし。
「もうまりなちゃん、待ちきれなくなっちゃって電話したんだ」
「だって私の初めての友達だよ?ずっとず〜っとわくてかわくてかしてるんだよ」
え、ちょっと待て。初めて?
「生涯初の友達?」
「うん」
「まじ……?」
「まじ。私……、いじめられてたんだ………」
地雷踏んだ。あ〜あ。
私の思ったとおり。これはやっぱり地雷だった。
「いじめられてるようには見えなかったけど?かわいいじゃん、まりなちゃん」
「でもね……、おたくは世間一般では軽蔑されるんだよ………」
「……………」
そして私はその詳細を聞いた。
「私ね、小学校、中学校、高校と友達が1人も出来ずに過ごしてきたんだ……。小学はね、ちっちゃい子たちがよくする○○菌だ〜って感じで6年間……。川口、川越、与野、大宮、浦和など埼玉県を転々してね、親にすっごく迷惑かけたの……」
確かによく小学生はするよね。私もされたことあるし。
「中学はそれがさらにエスカレート……。小学のときにいじめてた人から殴る蹴るの暴行食らって……、一度は殺されそうになったの………。また、学校裏サイトは私の悪口を書くサイトになってて……、教師も参加してたんだから………」
「カウンセラーとかには行ったの?」
「行かないよ……。それから人なんか信じなくなったんだから………」
「……………」
教師がいじめに参加するなんて、学校もおわたもんだ。
「高校は暴行プラスでレイプされた………。その次の日には学校中で私が精子まみれの写真が出回って、しかもそのせいで川口全体で私をバッシングしたの………。「あいつは肉便器だ」って……。こなたちゃんは気づかなかったと思うけど、体にはあざがたくさんあるんだから………」
「蹴られた跡とか……?」
「火傷とか、カッターで肉を切られたとことか……」
「……………」
いじめじゃないよ、これ。完全に度が過ぎてる。
ゆうちゃんもこんな感じで上尾全体からいじめられたらしいんだけど、この娘の場合は違った。
というか、このあとまりなちゃんが言うことははっきり言って漫画でもないことだから。
「レイプされた相手との間に子供もできたし………、けど、それを親にも言えずに1人で苦しんだ………。結局薬で1つの命を亡くして……、そのことをレイプされた相手に言ったときには、その人からまたひどい性的暴行食らった………。何回も中出しされて………、死ぬかと思った………。もう耐えられない、自殺したいって思って、包丁をおなかに刺そうと思ったけど、お母さんに止められて……、けど、逆にその拍子でお母さんに包丁が刺さっちゃって………。ううぅぅぅ………、ごめんね……、ごめんねえぇぇ………」
「お母さんは……?」
「死んじゃった………。心臓一突き………」
壮絶なる過去。
波乱の人生を過ごしてきたんだね。
「でね、高3のとき、私バイトしながら1人で生活するようになったんだ……」
「待って、お父さんは……?」
「小さいときに死んじゃった……。過労死だよ………」
「姉妹いないの?」
「双子の弟と妹がいるけど、私から逃げるように大阪のおばちゃんとこに行っちゃった………」
まりなちゃんの鬱話はまだ続いた。
「私、それからは絶対にがんばろうって思ってね、保健室登校を繰り返したんだ……。勉強も赤本買ってがんばった……。その結果ね、進研模試で、国語と英語が全国トップになったんだ………」
これはみゆきさんでも出来なかったこと。彼女は全国トップにもなった。これはすごいことじゃん!!
「え?!普通にすごいじゃん!!」
「でも、それがまたいじめをエスカレートさせる原因になったんだ。「おたくが全国トップになって、日本も終わったな」とか、「こいつに負けた……、鬱だ死のう……」とか……。次の日はまた黒板にでかでかと書かれて………、人生最悪だよ………。成績がいいのにバッシング食らうんだよ………」
「……………」
でも明るかった。まりなちゃんは会話してるときずっと笑顔だったよ。
「だからこなたちゃんと友達になれて嬉しかった……。誰からもいじめられてた私が遂に見つけた希望の光………」
まりなちゃんは若干泣き気味だった。相当言うのつらかったんだろうね。
「えぐ……、ありがとう……、こなたちゃん………。私と友達になってくれて………。今度絶対におっぱい見せてあげる………」
「おっぱい」発言は今までのが台無しになる。
「こら。そこでおっぱい言うな」
「ごめんなさい。でもそれくらい、あなたのことを信頼したい……。もっともっと知りたいし、もっともっと仲良くなりたい………」
でもそれが彼女のいいところかな。言うことがおたくチックでエロチックだけど。
「何で私なの?人一切信じられなかった君が、私をどうして選んだの?」
でも引っかかるところがあった。彼女はさっき、人一切信じられないとか言ってたけど、そんな状態でどうして私なんかと友達になるとか言い出したんだろう。
「登校するときぶつかったじゃん。あのとき……、こなたちゃん私のパンツ見たでしょ……?私ただの変態おたくだし、ギャルゲでよくあるシチュだったしさ、こういうのって運命って思うんだ………。そこでフラグが立つってよくあるじゃん………」
確かに。私はただかわいい娘のパンツが見たかっただけだけどね。
「そこで私が「退くわ〜」って言ったら?」
「ふふふ……、わかってるくせに………」
よかった。まりなちゃんに笑い声が戻った。
そんな、「退くわ〜」とか言うわけないよ。こんなかわいそうな娘を突き放すわけがない。
「だから明日から、いや今日か。一緒に登校しようね。国分寺公園で8:20に待ち合わせね。こなたちゃんまた走り?」
「いや、自転車で行くつもりだよ」
「じゃあ私も自転車」
「おk」
一緒に登校する約束もした。初めての友達とすぐに登校。
「今日はほんとにありがとね……。おかげで好き……、あ、あああ……すっきりした」
今好きって言ったよね?あ、あれ?
「じゃあお休み〜」
電話はこれで切れた。
別に私のこと好きでも、私はまりなちゃんの気持ちは私の心の中にしまっておくよ。
私も大好き(like)って言ったし。私はかがみの婿。
私は絶対にまりなちゃんとは友達、親友以上の関係にはなりたくないから。
それがわかってくれる日はいつになるんだろうか。
そんなことを考えながら、私はスクリーンセーバーの状態だったパソコンをまた起動させて、アダルトサイトに行った。
3.江南いっぺい 1へ続く![]()
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